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後宮に月は満ちる 金椛国春秋(篠原悠希)の感想/ブログ

後宮に月は満ちる 金椛国春秋(篠原悠希)の感想/ブログ

こんにちは、ゆーです。

今回は、後宮に月は満ちる 金椛国春秋(篠原悠希)の概要と感想をご紹介します。

 

金椛国春秋シリーズの記事はこちら

※準備中※

 

本の概要

タイトル後宮に月は満ちる 金椛国春秋
著者篠原悠希
発売日2017年06月17日

 

 

あらすじと物語の紹介

女装で後宮を生き抜け、少年!時間も忘れてのめりこむ中華風ファンタジー!


大陸の強国、金椛国(きんかこく)。
皇帝の代替わりに際し、一族郎党殉死という悲劇となった名門・星家の御曹司、遊圭(ゆうけい)は、
町娘の明々(めいめい)の救いにより、女と偽り後宮で女官として務めることに。
家事働きは全くできず、「使えない」という烙印を押された遊圭だったが、叩き込まれた教養と、生来の虚弱体質のため身についた薬膳の知識によって、
次第に後宮で必要とされる存在に。
美貌の宦官・玄月(げんげつ)に正体を疑われつつも、「使える」存在になったことで命拾いした遊圭。
今度は皇太后の娘で引きこもりのぽっちゃり姫・麗華(れいか)の心身の健康のため、公主の部屋付きを命じられることに。 
そして後宮に渦巻く女達の野心と怨念が生む陰謀に巻き込まれて……。
大人の男になるまでに、遊圭は果たして後宮を出られるか? 
知識と機転で切り抜けろ! 中華後宮ファンタジー第2弾!

 

『後宮に月は満ちる』は、金椛国で生き抜く少年を描く中華風ファンタジー『金椛国春秋』シリーズの第二巻。

後宮内の大きな陰謀が動き出します。

 

読書記録

  • 読了日:2025年10月19日(日)

 

感想

いかにも後宮!という様相を強めた第二巻でしたね!

 

まさしくドロッドロの人間関係に、陰謀の数々。信頼していた人もその本音は掴めず、全員が全員を疑い、足を引っ張り合うような、まさに伏魔殿。面白いです。←

そんな中、生来の虚弱・病弱体質故に身についた生薬や医学の知識によって切り抜けていく遊圭の姿は見ていて気持ちが良いですね。

 

皇太后にかかる疑惑を突き止めるため、皇太后の娘である引きこもりの姫・麗華の療養を任されることになった、遊圭と明々。

最初は療養を拒絶していた麗華でしたが、遊圭や明々と触れ合い、根気強く会話することで次第に心を開いていく様子がとても良かった。

 

そうした中、後宮に渦巻く陰謀は加速。遊圭も危険を承知で敵陣に単身乗り込んで証拠を掴みに走ります。

玄月に対する信頼をどうして良いのかわからないまま、自身にできることをどんどん進めていく行動力は凄まじいものだなあ…と思います。

 

最終的に遊圭は皇帝のもとにたどり着き、挙げ句官僚を弾劾することになるのですが、正体をバレたくない、可能な限りひっそりと過ごしたいはずの遊圭にとっては割とよろしく無い展開です。

なんとか歯車がうまく噛み合って成功という結果になったときには、読んでいるこちらもほっとしましたね…。結構ハラハラさせれれる物語でした。

 

これにて皇太后を引き下ろすこともでき、一件落着。

晴れて遊圭と明々も後宮から解放される…かと思いきや、今度は皇帝の目に止まってしまったことにより前例のないレベルの大出世。

なんとか逃げ出そうとするも、玄月に止められ後宮に引き戻される遊圭。

ですが、ここで示される可能性には読んでいるこちらも驚きました。

 

いまはまだ、どうすればよいのかわからぬが、そなたがこの一年で成し遂げたことを思えば、ひとつの法を覆すことは、不可能なこととは思われない

 

なんと、この後物語は外戚族滅法を覆す方向に進んでいくのか。

とはいえ、玄月も言っている通り、読者としてもどうやって…?と思わずにはいられません。

 

この後どうなる?と先を楽しみにさせるところで物語は幕を閉じてしまいました。

その後すぐ第三巻を開いたのは、言うまでもありません。笑

 

印象に残ったポイント

病を治すものは

作中では公主・麗華の病を治すシーンが多く描かれますが、最終的に麗華の病を治したものは薬でも食事でもなかったように思います。

 

確かに、麗華の病がシンプルに”原因を取り除けば治癒する”というタイプのものではなく、いわば心から生じたものであったことも一因であることは間違いないと思いますが、それよりも麗華自身に自信と生きる希望が生まれたのが大きかった。

それを生み出したのは、これまで存在しなかった遊圭・明々といった”自分の話を聞いてくれる”、”日常的に会話ができる”存在。

きっとこれは世の中のどんな病や不調に対しても、絶対的な治癒法として一つあるものなんだろうな、と思わせられました。

 

結局人は人と話さないと生きていけないんでしょうね。

一人では塞いでいた気持ちが、ちょっと友人に合って喋るだけでなんとなくうきうきしたりすることはよくありますし、あまり顔を合わせたいとは思わない相手でも、なんだかんだ喋ってしまうと楽しかったりするんですよね。

何なら、ちょっと街に出て定員さんと定型文の会話を交わすだけでも、少し気持ちが晴れたりします。

 

こういうことは昔から言われていますが、改めてばかにできないものだなあ…と思いました。

 

遊圭と明々の関係について

はじめは遊圭は守る対象として、明々は面倒見の良い姉貴分としてとだけの関係だった二人。

 

後宮という伏魔殿を一緒に乗り越えていくうち、お互いに知らず知らずのうちに距離が縮まり、お互いを意識するようになったり、本人もわけが分からぬまま嫉妬心を抱いたりしている様子が描かれていきます。

 

なかなか今の後宮で過ごしている状態ではその先に進むことは難しい、という前提はありつつも、徐々に二人の関係が変わっていく様子も今後の楽しみだなあ、と思います☺️

 

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