湖宮は黄砂に微睡む 金椛国春秋⑥(篠原悠希)の感想/ブログ

今回は、湖宮は黄砂に微睡む 金椛国春秋(篠原悠希)の概要と感想をご紹介します。








本の概要
| タイトル | 湖宮は黄砂に微睡む 金椛国春秋 |
| 著者 | 篠原悠希 |
| 発売日 | 2019年02月23日 |
あらすじと物語の紹介
死の砂漠で公主を捜せ! 知力を尽くして天命を待つ、手に汗握る最新作!
金椛帝国最西の街。
罪を犯した友人を救おうとした咎で、辺境に飛ばされた星遊圭(せい ゆうけい)。
先輩役人たちの嫌がらせにも負けず頑張る遊圭だが、
療母の胡娘(こじょう)の助けもあり、居心地は悪くない。
しかし、戦地より帰還した兵士から、行方不明中の公女・麗華(れいか)が、
死の砂漠にある伝説の郷(さと)に逃げたという情報がもたらされ、事態は一変。
しかも胡娘の生き別れの夫が同行しているようで……。
死の砂漠で公女捜し!?
傑作中華ファンタジー、冒険の章!
『湖宮は黄砂に微睡む』は、金椛国で生き抜く少年を描く中華風ファンタジー『金椛国春秋』シリーズの第6巻。
読書記録
- 読了日:2025年10月30日(木)
感想
ある意味落ち着いた生活を手に入れた遊圭ですが、その平穏はやはり長くは続かず。
気がつけば”死の砂漠”に繰り出し、僅かな心細い道標を手に公主がたどり着いたという伝説の郷を探すことに。
学問に打ち込んだかと思えば、命のやり取りを繰り返すような遊圭の人生は波乱万丈そのもの。
”病弱”という大前提がついているにもかかわらず、むしろそれ故に生薬の知識を蓄えているが故に、人並み以上の激しい冒険を繰り返す…というのも皮肉というかなんというか。
ただ、前回までの遊圭の暗躍やら冒険は主に玄月の企みに乗せられた部分が多かったのですが、今回は概ね自分の意思で繰り出している、というのが大きな違い。
まあ若干玄月の思惑がうまく入っているような気がする…というのは遊圭自身思っているところではありますが(笑)
明々も指摘していたかな…。笑
味方同士でありながら、なんとなく相容れない遊圭と玄月の関係も不思議なものだなあと外野としては思いつつ、案外こういう”うまくいかない”相手とでもなんとかやっていけるものだ、というのを見せられているようで、なんだかホッとします。
自身の職場を顧みると、”うまくいかない”相手が結構いらっしゃるので日々悶々とはしますが、それでもこうやってなんとかやっていくことはできる、というのを見ると安心するんですよね。←
だからこそ、頼むから玄月の裏切りだけはやめてくれ…と個人的には思ってしまいます。
以前は敵(というか裏切り者?)として登場した橘真人の再登場と意外な活躍には驚かされましたし、公主麗華の無事と、彼女が選んだ道には個人的には嬉しく思います。
シーリーンにとっては苦い部分はあるかもですが、麗華公主が幸せそうで良かった!
そしてラスト、宦官・慈仙の裏切り。
無事に帰還し明々に会えると思っていたのですが、やはりそう順調には物語は進んでくれないようです。
せっかくいい声で歌ってくれていたのにこの仕打ちはなかなかですね。人は見かけによらない…。
異国に囚われるという窮地に瀕しつつも、冷静に次の手立てを考える遊圭の姿にも驚かされましたね!
いつかは外戚族滅法に苦しめられて絶望しているだけだったのに、気がつけばこんなにも成長している…!
そんな遊圭の変化をずっと追うことができるのも、シリーズものの醍醐味ですね😏
遊圭、明々、玄月、陽元。
それぞれの目線で、それぞれの場所で展開される物語。
遊圭は無事生還できるのか、玄月は自らを嵌める罠から抜け出す事ができるのか。
この後の展開も楽しみです。
印象に残ったポイント
皇帝一家の”家族のかたち”
冒険と激動の回となった本作ですが、その中でも皇帝と皇后の家族を描く一幕がありました。
個人的にはこのシーンが結構印象的で。
皇室ならではの、実の母と父の他に乳母の存在が大きい子育ての仕方や、異母兄弟とともに過ごすということ、そのことが小さな子の目にどう映るかというのを切り取ったこのシーン。
難しいなあ、と思うと同時に、冒険と激動の裏でもこういった日常が続いているということを思い出させてくれる場面でもありました。
物語の本筋には大きく影響しない場面ではありますが、きっとここでの経験を経て、後々明々は自分の息子が生まれたら遊圭に肩車をするよう伝えるのかもしれないな…、と想像できるのがなんだか嬉しかったです☺️
こういうのも、シリーズものの醍醐味ですよ…!笑










