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後宮に星は宿る 金椛国春秋(篠原悠希)の感想/ブログ

後宮に星は宿る 金椛国春秋(篠原悠希)の感想/ブログ

こんにちは、ゆーです。

今回は、後宮に星は宿る 金椛国春秋(篠原悠希)の概要と感想をご紹介します。

 

金椛国春秋シリーズの記事はこちら

※準備中※

 

本の概要

タイトル後宮に星は宿る 金椛国春秋
著者篠原悠希
発売日2016年12月22日(文庫版)

 

 

あらすじと物語の紹介

生きる、何があっても。理不尽な運命に立ち向かう少年の中華ファンタジー!


大陸の強国、金椛(ジンファ)帝国。名門・星家の御曹司、遊圭は、ひとり呆然と立ち尽くしていた。
皇帝崩御に伴い、叔母が皇后に選ばれ……。
「皇帝に外戚なし」の法のもとに、星家は一族すべて殉死を命じられたのだ。
一家の療母(薬師)、胡娘(コジョウ)の助けにより、一人逃げ延びた遊圭は、町娘の明々に出会う。
明々はかつて遊圭に救ってもらったことを恩に感じており、遊圭を匿ってくれた。
その矢先、明々の後宮への出仕が決まる。
再びの絶望的状況に、明々はからりと言う。
「あんたも、一緒に来るといいのよ」
――かくして、小柄で女子にも見える体躯を生かし、
少年・遊圭は女装して後宮へ出仕することに。
しかし美貌の宦官・玄月に正体を疑われ……。
つぎつぎと襲いかかる試練に、対抗できるのは己の知恵と仲間だけ。
理不尽すぎる世の中で、少年は生き抜くことができるのか。
傑作中華風ファンタジー!

 

『後宮に星は宿る』は、金椛国で生き抜く少年を描く中華風ファンタジー『金椛国春秋』シリーズの第一巻

主人公の遊圭を巡る物語の幕開けです。

 

読書記録

  • 読了日:2025年10月17日(金)

 

感想

舞台は大陸の強国・金椛国。

完全にフィクションの異世界ファンタジーではありますが、どことなくその世界観は中華風であることを感じずにはいられません。

 

そんな国で貴族として生まれ育った主人公・遊圭は、生まれつき病弱。

幼少期はほとんど床から起き上がることが出来なかった、というほどなので相当のレベルであることも分かります。

 

そして彼と彼の星一族を襲う悲劇、外戚族滅法。

何度読んでもその苛烈で残酷な内容にはゾッとさせられますね…。

新たな皇帝の正妻となる親族はすべて滅する。具体的には、先帝の墓に一緒に生き埋めにされる。その人数も星一族については60人ほどいたとのこと。怖すぎる。

 

とはいえ、そんな一件滅茶苦茶な!と思うような法でも、法は法。

その成り立ちも納得させられるもので、なるほど結構問題は根深いのね…、と思わせられます。

とは言えどうなんでしょうね、こういう皇帝とか皇后とかの周りには暗殺だの陰謀だのが渦巻くのが定石な気がするんですが、その時味方がゼロになる皇后はどうしようも無いのでは。

 

ともあれ、本来ならここで一緒に生き埋めにされるところだった遊圭を救ったのは、外国人奴隷として星家に仕えていた胡娘と、かつてささやかな恩を与えた明々という女の子でした。

そして遊圭は、男性であることを隠し、明々と一緒に”女性”として後宮に仕えることになる。

 

なかなか悲劇的な幕開けではありますが、物語としては非常に面白い!(ごめん、遊圭…)

こういう女の世界ならではの足の引っ張り合いや、権力を巡った争いに、陰謀。次々試練が襲いかかり、それをなんとかなんとか乗り越えていく様子はやはり読んでいて面白く、気がついたらあっさり一冊読破していましたね…。

 

異世界ファンタジーらしく、作中で登場する言葉はちょいちょい耳慣れないものがよくありますが、とはいえおそらく基本の世界観が中華風で裏打ちされているので、そこまでとっつきにくいこともなく。

主人公の遊圭が比較的うだうだと悩んでくれるタイプなので(笑)、その心情にも共感しやすいのが読んでいて面白い部分です。

 

物語は、遊圭の正体が宦官の玄月にバレたこと、遊圭と明々が陰謀に嵌められて謂れのない罪を着せられそうになったことから、ピンチを脱するために遊圭と明々が玄月の下で動くことを決めたシーンで一旦幕を閉じます。

ただ生き延びるために後宮入りしたはずが、気づけば大きな陰謀を暴かなくてはならない事になった遊圭。

後の展開も楽しみにしたいと思います。

 

印象に残ったポイント

遊圭と明々の年齢について

作中で遊圭は10歳以上、15歳には満たないくらい、明々はそんな遊圭より2~3歳位年上、と説明されます。

結構物語の中では遊圭自身が地雷を踏んでしまったり、自身の力をひけらかしてそれ故にピンチに陥ったりする場面が多く、最初のうちは「おいおいなんでそうなる!」と突っ込みながら読んでいたのですが…、想像以上にふたりとも若い…というより幼かった。

 

12,3歳と言えばせいぜい小6から中1。

当時の自分を振り返ると…、ああ確かに滅茶苦茶な言動を相当していたような気がしますね。思い出すのが嫌になったのでこのあたりでやめておきます。笑

 

そう考えると、読んでいる身としては危なっかしく、時折理解できないほどの幼さを見せるのもそりゃ当然というわけで。

むしろこんな小さな子たちにどんだけシビアな現実を与えるのか…、という目で見るようになりました。

 

更には物語の中で成熟した大人、として登場する宦官の玄月も20歳に満たないわけです。

こういうフィクションでは基本的に登場人物はびっくりするほど低年齢のことが多いですが、冷静にそのことを考えると一体今の私は…、と考えることにはなります。笑

まあそういうのも含めて良いんですけどね。こういう物語を読まなければ考えることが無いわけなので。

 

今後のシリーズが続く中、遊圭と明々の成長の様子も楽しめそうです。

 

外戚族滅法について

凄まじい法ですよね、これ。

皇后に立った親族を、地が繋がっていれば全員もれなく生き埋めにして滅ぼす、というれっきとした国で用意された法。

 

理屈は説明されるので分かるんですよね。

何より、過去何代もの王朝が外戚の暗躍によって滅ぼされた、とあれば尚更。

とは言え、作中で胡娘が言っていた通り、「そんなんじゃ誰も皇后になりたがらない」というのもそりゃそうですし、族滅を免れるために陰謀を張り巡らせる…という悪循環も生みかねない両刃の剣です。

ぜひこの法が制定された背景とか、細則とかを深く突っ込んで見てみたいものですね。←

 

後々物語がどういった展開を見せるか、とても楽しみです。

シンプルに遊圭と明々が後宮から解放される方向をひたすらに模索するのか。

あるいは何らかの拍子に遊圭の正体が皇帝にバレることになるのか…。

引き続き楽しんでいきたいと思います☺️

 

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